コロナ禍と健康状態
特定医療法人共和会 共和病院 副院長 谷口 正哲
コロナ禍が長く続いています。緊急事態宣言は2021年9月末で解除されましたが、今後の感染状況がどうなるか予断を許さない状態が続きます。
実際に新型コロナウイルスに感染する確率はそれほど高くなく、ほとんどの方にとって問題になるのは感染防止のための「ステイホーム」、つまり外出を必要最小限にする・在宅時間を増やすことによる健康状態の変化です。
体重は健康状態評価の最も簡便な指標ですが、ステイホームによる体重変化に関して8月に開催された栄養関連の学会で興味深い報告がありました。
標準体重の方は変化無く、痩せている方はより体重が減り、肥満の方はより体重が増えていました。
肥満度が高い方がより大きな体重増加となっています。
痩せている人(摂食量が少ない人)は更に摂食量が減り、太っている人(摂食量が多い人)は更に摂食量が増えると言うことで、「良くない」生活習慣が増幅されるという結果となっています。
これはストレスによるものと考えられます。
体重は少なくても多くても有病率(何か病気にかかっている率)が高くなり、健康状態は悪化します。
体重が適正かどうかを判定する指標として肥満指数(以下BMI:body mass index)があります。
体重(kg)を身長(m)の二乗で割った数値であり、標準値は22です。
ご自分の身長を二乗して22を掛ければ標準体重を知ることが出来ます。
例えば身長162cmの人では1.62×1.62×22=57.7(kg)となります。
BMIの上限は25、下限は18.5ですので肥満・痩せの判定にご利用下さい。
なお、生命予後(いわゆる生存率)も肥満・痩せともに悪化しますが痩せの方が肥満よりも良くないのでご注意ください。
「ステイホーム」ではストレスと運動量の低下が発生します。
ストレスにより前述の食行動変化の他、全身の血管が細くなり血液の流れが少なくなります。
また運動量の減少でも心臓からの血液の送り出しが減り、栄養・酸素の供給が減少して体全体の機能は抑えられます。
血液中の免疫細胞の働き・腸の細菌侵入を防ぐ働きが低下し、免疫力が低下していろいろな感染症にかかりやすくなります。
コロナウイルスにかからないようにする行動が、実は体の抵抗力を弱めてしまうことに注意が必要です。
外出機会が減っていても、タンパクを含む食事をしっかり摂って、ストレスを避けるために充分休養・睡眠を確保し、定期的に運動することを心がけて頂きたいと思います。
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