クロザピンとは?

クロザピンは、治療抵抗性統合失調症に有効性を認められたお薬です。

  • 長期にわたる入院治療が必要であった・・・
  • 部屋に長年引きこもって外に出られなかった・・・

クロザピンは、今まで複数の抗精神病薬による治療を受けられたにもかかわらず、症状が十分に良くならなかった統合失調症の患者さん(治療抵抗性統合失調症)に対して一定の治療効果があることが認められた、「最後の切り札」とも言われる治療薬です。

クロザピン治療に関しては、国より流通管理及び安全管理のための委員会(クロザピン適正使用委員会)の設置が義務付けられており、日本ではこのクロザピン適正使用委員会が認可した医療機関及びクロザピン適正使用委員会が許可した医師でしか処方できないルールとなっています。

当院では登録医とそのほか研修を修了した看護師・薬剤師等の多職種連携チームでクロザピン治療を実施している医療機関です。

クロザピンについて

  • 薬物療法の進歩により統合失調症の大部分は良くなる時代となりました。しかし、お薬を飲んでも思うように症状が改善しない治療抵抗性統合失調症と呼ばれる統合失調症があります。

治療抵抗性統合失調症とは

  1. 十分な薬物療法を行っても治りにくい反応性不良
  2. 副作用のために必要な量の薬剤を使用できず病状が良くならない耐用性不良

2つのタイプの統合失調症です。

このような治療抵抗性統合失調症を対象として、世界で唯一有効性が認められているお薬があります。

それが、クロザピンです。

クロザピンの特徴

209年7月から日本でも処方可能となり、退院や社会復帰をされた治療抵抗性統合失調症の方も少なくありません。

クロザピンは

  • 幻覚や妄想の改善
  • 認知機能の改善
  • 攻撃性や暴力の改善

に期待ができます。

また、統合失調症患者の自殺率を低下させると報告された唯一のお薬でもあります。

注意点について

クロザピンは有効性の高いお薬ですが、他のお薬以上に副作用に注意が必要です。

主な副作用には

  • 顆粒球減少症
  • 心筋炎
  • けいれん

などがあり、最も注意しなければいけないのは顆粒球減少症です。

顆粒球減少症は、細菌などから体を守る白血球の中の顆粒球(好中球)が減ってしまうため、感染症を起こしやすくなります。そこで、患者様が安心してクロザピンを飲んでいただくために、定期的に血液検査を行います。また、共和病院では藤田医科大学病院血液内科とも連携しています。

モニタリングシステムについて

クロザピンによる治療を安心して受けていただくために、クロザリル患者モニタリング・サービス(【CPMS】と呼ばれています)という第3者機関に血液検査を報告することが義務づけられておりクロザピン適正使用委員会による承認後、クロザピンは処方可能となります。

CPMSとは?ノバルティスファーマ社【外部サイト】

患者さんへのご案内

クロザピンによる治療を受けるためには、入院が必要です。(詳しくは、担当医にご確認下さい。)

医師の判断で外出や外泊を行うこともできます。退院後は外来に通院していただきながらクロザリルを処方していくことになります。

当院での取り組みについて

事前に有効性や副作用について丁寧に説明し、同意をいただいてからの処方となります。共和病院では安心して患者様にお薬を飲んでいただくために、定期的な血液検査でモニタリングを行いながら安全な内服をすすめています。医師、看護師、精神保健福祉士、臨床検査技師、薬剤師などによる多職種連携チームが、患者さん・ご家族の方々の精神的・身体的サポートを行っています。

血中濃度測定について

クロザピンの血中濃度を測定する意義は大別して2つあります

測定する目的について

  • 血中濃度をモニタリングしながら病状に応じたきめ細かな処方の調整
  • けいれんや傾眠などの副作用対策

副作用は血中濃度に比例して出現するわけではありませんが、血中濃度を測定することによりに副作用の出現を予測することも可能になります。

クロザピンをご検討中の方へ

クロザピンをご検討中の患者さん・ご家族の方々へ

  • クロザピンは本当に効果があるの?
  • クロザピンを飲んでみたいけどこに相談したらいいの?
  • 副作用は大丈夫なの?

クロザピンによる治療効果に疑問がある、副作用のことが心配でクロザピンによる治療を躊躇している、相談窓口が分からないなどの理由でお悩みの方々もいらっしゃると思います。共和病院ではクロザピンを考えていらっしゃる患者様の受け入れはもちろんのこと、ご相談にも親身に対応いたします。お気軽にご相談ください。

また、共和病院以外の病院に入院中または通院中の患者様・ご家族の方のご相談も随時受け付けています。

ご希望の患者さん・ご家族の方は、治療を受けておられる主治医の先生にご相談のうえご連絡ください。

クロザピン導入をご希望する医療機関さまへ

【紹介方法】

患者さんのご紹介をしていただく場合には、はじめに、医療連携室にご相談ください。

治療の流れや必要な情報などについてご説明いたします。

  1. 医療連携室にお電話をください。
    0562-46-2222(共和病院代表)
    受付時間:平日(8時30分~17時15分)※祝祭日・年末年始を除く
  2. 患者様の内容の聞き取りを行い、受診日時をご連絡いたします。

医療連携室(共和病院)TEL:0562-46-2222Webお問い合わせお気軽にお問い合わせください。